しばらくは書き溜めたものでお茶を濁します。
- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/11/08
- メディア: 新書
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辻村深月を読むのは2冊目。
正直この人の地の文にはあまり惹かれる所はないのだけれど、何か読まされてしまうんだよね。
プロットや人物造詣が魅力的、という事なんでしょうか。
辻村作品の主人公というのは、微妙にアタマが良いせいで、何でも考えることだけで解決してしまおうとする/出来ると思っている。そのせいでどこか現実感のない、嘘っぽい感じになってしまっている。
だけど、その現実感のなさこそが、自分の頭の良さを自覚している、自分はトクベツなんだ、というちっぽけな全能感を暴き出しているようで逆に痛い。とても切実。
この人の作品は『寓話』なんだと思うな。道徳の教科書に書いてあるようなおはなしを現代風にアレンジして小説にした感じ。
著者が教育学部出身っていうとこは大いに影響しているだろうな、と思う。
まぁ、この作品ではちょっと『寓意』とジョシコーセーが主役の小説としての『リアリティ』のバランスがちょっといびつかな。ちょっと没入感が足りない、というか。
その点でいえば、小学生を主人公に据えて『寓話』方向に極限までシフトした「ぼくのメジャースプーン」の方が評価は高い。正当な深化/進化を遂げていると言ったところか。…問題点は抱えたままですが。
まぁ、瑕疵はありますが、とても暖かくて切実なお話です。ドラえもん好きは是非。そうでない方も是非。読みたくなります。